あたいが秘書をしているおじちゃんは、考えても見ればこの中にいて本当に無害な人である。週に４日間出てきて、大概の時間を読書と言うか調査研究(こう言った方がよさそう）に充てている。これと言ってスケジュールがあるわけでもなし、面倒な事をさせるでもない。お茶を入れろといわれたのもまだ２回か３回である。優秀なおじちゃんである。
この方、こちらへ天下りなさる前はどこかの大使だったらしい。中南米のどこかの国らしい。・・・らしい、と言うのはあまりあたいに慣れていないから。嫌いって訳じゃないだろうけど、ちょっと恥かしがりやなのかも知れない。
